秘密の恋/勝彰
『皆には内緒で。』
そう、こうして頻繁に会っていることすら口止めされた。
その理由は言われずとも理解出来ていた。
身分違いな恋だから。
『早く堂々と会う事が出来るようになれば良いのに…』
『彰紋…』
『ふふ、我が儘ですよね、僕。こうして人目を忍んででも勝真殿に会えるだけで幸せなのに。』
幸せ、と口にはしたが、彰紋は切なげな表情で空を仰いだ。
なんだかやるせなくて。彰紋が悪いわけではないのに、無性に腹立たしくて。
否、自分に腹が立って。
『っ…?!勝ざ、ね…どの…!?』
ギリギリと、彰紋の手首を掴んで、木に押しつけて無理矢理口付けた。
ー…これも秘密の戯れ事か。と、何をやっても身分に踊らされている気がして、なんだか虚しくなった。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!